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2022年7-8月  自主山行

白峰(しらね)三山縦走
北岳(3193m)〜中白根山(3055m)〜間ノ岳(3190m)〜
 〜西農鳥岳(3051m)〜農鳥岳(3026m)

山梨県

7月28日(木)〜8月1日(月)

 参加者6名  CL滝 史郎 SL三浦美雄子 中野正之 吉川明子 栗栖朋子 熊谷眞諭美

コースタイム・天候

【7月28日(木)】天気 晴後曇り
広島駅8:10⇒11:37静岡11:45⇒13:08身延13:45⇒15:15奈良田温泉15:30⇒16:15広河原=広河原山荘(泊)
【7月29日(金)】天気 晴一時雨
広河原山荘6:45→10:20白根御池小屋11:00→(草すべり)→13:40二股道出合→14:05小太郎尾根分岐→15:40北岳肩の小屋(泊)
【7月30日(土)】天気 晴一時雨
北岳肩の小屋5:50→6:55北岳7:32→9:05北岳山荘9:20→10:10中白根山10:25→12:05間ノ岳12:20→14:00農鳥小屋(泊)
【7月31日(日)】天気 晴一時曇り
農鳥小屋5:20→6:45西農鳥岳7:00→8:10農鳥岳8:30→9:20大門沢下降点9:30→14:10大門沢小屋(泊)
【8月1日(月)】天気 晴一時曇り
大門沢小屋6:00→10:00吊り橋(取水口)→10:55奈良田第一発電所→11:30奈良田温泉13:50⇒15:20身延15:30⇒16:56静岡17:07⇒20:35広島駅

報 告 (感想)

(1) 日にちが近づいてくる
 訓練山行も数回にわたり行った。インナーシーツやシュラフ、高価なファイントラック(下着)も買った。コロナワクチンも接種した。だが、一週間を切ると何か落ち着かない。いわゆる子供の時に経験した遠足を控えた前夜の状態である。
 この年になってこんな経験をするありがたさに胸を躍らせた。ザックに携行する荷物の出し入れを繰り返し、やっとの思いで支度を整えて当日を迎えた。
(2) 広河原山荘
 広島駅〜静岡〜身延からバスで広河原に至り、今年5月に新築の広河原山荘に到着した。山小屋というよりホテルである。今後泊まる山小屋の想像を絶する劣悪環境に直面するとは、滝リーダーを除いて誰一人予想はしていなかった。
 二階の客室には先着の父親と小学生と思える息子の二人がいたが、午後7時には眠っていた。我々は夕食を終えこれから始まる白峰三山縦走の健闘を期し、ささやかな宴を開き早々と眠りについた。翌朝4:30に起きると、父親と息子の姿はなく、きちんと整頓された布団が清々しい。
(3) 肩の小屋
 朝食を済ませ6:45出発。山荘を出ると直ぐに急登続きで汗が噴き出る。途中白根御池小屋では自分で用意した昼食を取り、30分後に出発した。
 急登続きであり、標高は増し2500mを越すと酸素量が減りハアハアと呼吸が辛くなり、滝リーダーから「腹式呼吸」に切り替えるように指示がある。
 空気が薄い時は急ぐことは禁物である。先頭のリーダーはわざとゆっくり歩を進められ、お陰で薄い空気に順化できて高山病になることもなかったが、それ以上の速度なら週3回の牛田山で鍛えた鋼はもろくも、折れていたことだろう。
 程なく肩の小屋に到着する直前に、怪しい雲行きはポツポツと来だし雨衣を着る間もなく濡れてしまった。山の天気は豹変することを身をもって体験した。
 予定より40分遅れで肩の小屋に全員揃って到着することが出来た。
 就寝にあたり、睡眠薬は高山病に悪影響を及ぼすとのリーダーの助言があり控えたが、とても疲れているのに興奮状態は持続し、遂に一睡もすることなく起床時間の3:30を迎えた。ご来光に手を合わす女性陣の清純さに思わず心を打たれた。
 朝食後利用したトイレは、5年前には用を足したチリシをダンボール箱へ入れる際に山盛りとなり、自分のチリシが転がり落ちるのに悪戦苦闘したものだが、この度は大型のダストボックスに変わっていたので、隔世の感を覚えた。
(4) 天空の散歩道
 5:45肩の小屋を出発して雄大な北岳を目指す。数年前にBSテレビで「天空の散歩道」と呼ばれていたがまさにその通り、左手に「富士山」、後方に「鳳凰三山」「仙丈ケ岳」「甲斐駒ヶ岳」右手後方遠くに「槍ヶ岳」やや近くに「八ヶ岳」右手先に「塩見岳」、正面にこれから登る「北岳」「間ノ岳」「農鳥岳」を仰ぎ見る。晴天にも恵まれまさに名だたる名峰に囲まれながらの、贅沢な山行で、「天空の散歩道」を堪能しながら今回1座目の北岳に登頂した。昨日の急登に疲労した身体には特効薬となった。
 改装中の北岳山荘は、5分間隔で建築資材を降ろすヘリコプターがひっきりなしに荷揚げしていた。山荘の屋根にはジャージ姿の若い女性が5〜6人登って談笑していた。聞くに「昭和大学北岳診療所」の学生らしい。「恋煩いの治療は?」と聞くに「塗り薬位なら可能です」とキャッキャと笑いながら返された。
 そこを出て、今回2座目の「中白根」を経由して今回3座目の「間ノ岳」登頂を目指したが、頂上の少し前から、雲行きが怪しくなり小雨に遭った。振り返ると北岳は流石に山容が立派で見惚れる。間ノ岳から農鳥小屋までは長い道程で約2時間を要した。
(5) 農鳥小屋
 農鳥小屋の名物オヤジさんは、小屋から望遠鏡で間ノ岳から下る泊り客を見つけて、「歩き方を注意」するとツイッターにアップされていた。我々は、雨具を着ていたので、オヤジさんから部屋でなく表の石垣に干せば早く乾くとの助言を得て、6人は逆らうと仕打ちが怖いので指示に従い干した。
 小屋の名物は、オヤジ・トイレ・みそ汁・生卵・たくあん・布団と盛り沢山であったが、トイレ以外は批判に耐えきれなかったのか、どれも改善されていた。ただ、トイレだけは波板が斜めに取り付けられただけのものだった。オヤジさんは我らに対し親切で、女性はオヤジさんに好印象を持っていた。「19:30頃夕焼けがあるので見なさい」と教えてもらい外に出ると、素晴らしい夕焼けで、6人は大パノラマに暫し見惚れた。富士山は夕日が反射し、「赤富士」となり何か良いことに出会えそうな気もした。いつも宿泊客はオヤジさんの忠告を無視して19:00から寝るので、翌朝夕焼けをプリントして、残念がらせてそれを喜ぶのが趣味であるとも話していた。
 何はともあれ、3:30に起床して朝飯を胃袋に入れ5:17に長居は禁物と早々に引き上げた。
(6) 農鳥岳
 小屋を出て歩き始めは、酸素が薄くしんどいが落伍だけはしてたまるかと、必死にリーダーを追う。今回4座目の西農鳥岳に6:45に何とか登頂した。登山道は難所が幾つもあり疲労困憊で、やっと今回5座目の農鳥岳には8:10に登頂した。
 これで今回の目標である5座を踏破した喜びもつかの間、どっこい!これから始まる長く険しい下りが待っていた。約6時間かけて大門沢小屋にたどりついたのは14:13であった。
(7) 大門沢小屋
 客室は新しく整備され快適であるが、トイレが未整備で使用に耐えがたかった。その代わり水が豊富で洗い場は使い放題であり、下着や汗まみれのシャツが洗えたのは嬉しかった。とりわけ、山行成功を祝して6人で乾杯した時「この年でも、あの恐ろしいほどの急登の5座を征服し、しかも長い距離を下った充実感」に浸った喜びは何ものにも代えがたいものであった。
 昨日セットした3:30がそのまま作動し30分早く鳴らしてしまい、迷惑を掛けた。昨日洗った下着は、どうせ汗になるのだからと生乾きのまま着る。
 大門沢小屋を6:00に出発する。
(8) 急流と丸太橋
 小屋を出るとすぐに川に沿って下山する。昨日の下山で足を酷使しているのに、その上の今日の下りは、流石に6人とも限界気味である。何度か橋を渡るが整備は出来ていなくて、最大の緊張を求められるがなんとか6人ともクリアーした。悪路を上に下へと根っこや、ロープを持って転落を防ぎながら歩を進めた。
(9) 収納品の落下と回収
 幾度かの難所を過ぎ、コーヒータイムとなった。私は丁度テーブルのような岩にザックを置き、カップを探すため中身を岩に出した。しかしカップは無く栗栖さんから頂いたコーヒーを飲んでいるとき、不覚にも丸みを帯びたサックに入れた「インナーシーツ」が岩から転げ落ちた。その斜面は急峻で一旦は諦めたが、取れないことはないと思い、リーダーが止めるのを聞かず斜面に向かった。
 斜面は、ガレキが長年の内に堆積していて、いわば表層雪崩のように滑落し易いものだった。慎重に下り、辺りに目的物は無く諦めようとしたとき、栗栖さんが「もう少し下よ」と絶妙のタイミングで声を掛けられ、見ると倒木に引っ掛かっていた目的物を発見することができた。私が探してみんなの前に戻った時は、かれこれ20〜30分は経過していた。その間リーダーを始め5人に多大な心配をかけ、時間のロスを与えたことに猛省した。
(10) 奈良田温泉
 悪路を下山していたら、10:02舗装道路に出た。これで一安心!生命危険からは解放された。舗装道路から約1時間30分経過した11:30に奈良田温泉に到着した。
 汗で汚れ切った身体を流し、至福の時を過ごした。この温泉は泉質がよくぬるぬるとし、いつまでも入っていたい衝動にかられた。
(11) おわりに
 便利で贅沢な生活にどっぷりと浸かっている今日この頃、本来の生活とは何かということを、今回の山行で改めて考えさせられた。それゆえに、幾万の人たちが山旅に憧れ原点回帰を求めているのかもしれない。
 また、一歩一歩の積み重ねの大切さを思い知らされた山旅でもあった。
 最後に、この山行は有志とは言えリーダーの滝さんには、計画書作成から切符の手配、山小屋の申し込み、山の経路案内と何から何にまでお世話になりおかげで我々は楽しい山行を満喫できました。本当にありがとうございました。
 またSLの三浦さんには、6人を無事に帰宅させるように自分を犠牲にしての尽力に感謝申し上げます。

(記 中野)


【感想2】
富士山を望む日本一高い縦走路
雲海と美しい稜線
標高日本第二位の北岳頂上からのパノラマ絶景
北岳から間ノ岳(第三位)へ続く天空の縦走路
大門沢小屋からの丸太橋を渡る緊張感・・・
中でも、開運力があり縁起が良いとされる赤富士、農鳥小屋から少し雲がかかっていたものの山頂部分が赤く染まった赤富士を見ることが出来たのはラッキーだった。 しかも富士山を見上げるのではなく、目線の延長上に山頂が見える珍しい光景に、わぁー、すごい、キレイ・・・感嘆の声があがる。
山小屋に4泊し、花畑に癒され、厳しい急登も急峻な岩場も渡渉も6人で協力し確実に一歩ずつ歩んだ。
数えきれない感動の貴重な山旅であった。

(記 吉川))


【感想3】
 南アルプスは山が大きく、山小屋が少ない。富士山に次ぐ第2、第3の高峰をを含む五つの三千メートルを連ねる大縦走にチャレンジ。体力的に全く自信がなかったのでグループ山行として皆さんに呼びかけることはできませんでした。
 ゆっくり歩けば可能かと計画を立て、天気にも恵まれ、チームワークに助けられて無事完歩でき、達成感は大きい。そして何よりも足元の花々、雲海に浮かぶ山々、雄大な自然の中に身を置いて幸せな時を過ごせました。
 しかし、自然の厳しさもあらためて感じました。急に襲う積乱雲の激しい雨に二度も雨具の装着が遅れてしまう失態をした。登山道も年々崩される。平坦な道だったはずなのに岩をよじ登る道に変身していたり、木の梯子・階段が跡形もない程壊れて岩場に戻っていたりしました。

(記 滝)


歩いたコース

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距離と標高


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